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システム全体の走行抵抗の比較

このテストでは、ライダー、フレームセット、コックピット、ホイールシステム、タイヤを1つの動的なシステムとして、システム全体の走行抵抗(空気抵抗と転がり抵抗)を旧世代と新世代で比較。この画期的な設計手法が新世代 Propel の性能向上に大きく貢献していることを証明する結果となりました。

Grischa 2.0:動的マネキンを用いた風洞実験

GIANTはエアロ性能向上のためのアプローチとして、10年以上にわたって動的マネキンを用いた風洞実験を行ってきました。その動的マネキンは、Rabobank所属の元プロロードレーサーで、GIANTのテストライダーも務めていたグリシャ・ニールマン氏を忠実に再現したものであることから、「Grischa (グリシャ)」と呼ばれています。

新世代Propelの開発に先立ち、完全新設計となる2代目Grischaを導入。初代Grischaが高コストかつ成形に時間を要するカーボンファイバー製マネキンであったのに対して、2代目Grischaでは3Dプリント製マネキンに採用しました。

実際のライダーの体型をより忠実に再現することが可能になり、特に脚全体の長さや太ももの形状の再現度合が向上しました。また、新しい足の形状は、サイクリングシューズを履いた足と、そこから伸びる脚部の形状を正確に再現しており、シューズの装着が不要になりました。

頭部は交換式となり、首の角度の調整幅が大きくなったことで、ヘルメット上部や内部、さらに背中へと流れる空気の検証が容易に。温度センサーを内蔵した頭部も用意されており、ヘルメットの設計において重要な放熱性の測定も可能としています。また、分解組立が容易になったため、ウェアの着せ替えが容易になっています。

走行抵抗の改善

実験条件

テストの正確性を確保するべく、フレームは新旧でMサイズを使用。両世代それぞれに最適化されたコンポーネント(コックピット、タイヤ、ホイールシステム)を装着しました。

コンポーネント旧世代 PROPEL ADVANCED SL新世代 PROPEL ADVANCED SL
コックピットPrevious Contact SLR 0 (two-piece bar, 420mm straight)New Contact SLR 0 (Integrated bar, 400/ 370mm flare)
タイヤCADEX Aero 25cCADEX Aero 28c
ホイールCADEX Ultra 50CADEX Max 50
マネキンGrischa 2.0Grischa 2.0
詳細Frame size M; Integrated aero cage; standard water bottle; Giant aero jerseyFrame size M; Integrated aero cage; standard water bottle; Giant aero jersey

評価方法

システム全体の抵抗を計測するために、3つの抵抗測定を実施しました。

1. リニア空気抵抗 :
2代目Grischaを用いて、時速40km/hにおけるリニア空気抵抗(=進行方向と逆に作用)を、ヨー角±20°の範囲で測定しました。

2. ホイールの回転抵抗 :
時速40km/hを想定してホイールを回転させ、ヨー角±20°の範囲で空気抵抗を測定。送風時と無風時の差分を用いて、新旧モデルの性能を比較しています。

3. タイヤの転がり抵抗 :
タイヤ1本あたり42kgの荷重をかけ時速40km/hでテスト実施。総重量84kgのシステム(=バイク+ライダー+ウェア等)を想定し、タイヤの転がり抵抗を測定しました。

結果

新世代 Propel Advanced SL は3つの抵抗測定すべてで大幅な進化を証明しました。


ワットセーブ | 完成車状態での比較
単位: W (ワット)

評価項目旧世代 PROPEL ADVANCED SL新世代 PROPEL ADVANCED SL
リニア空気抵抗 (ヨー角 ±20º)234.9222.48
ホイールの回転抵抗 (前後合計)5.465.04
タイヤの転がり抵抗 (前後合計)27.421.8
合計267.76249.32

システム全体の走行抵抗:-18.44W低減

新世代 Propel Advanced SL は、システム全体の抵抗を267.76W から 249.32W へと大幅に低減し、明確な性能向上を達成。より高い効率でライダーからの入力をスピードへと変換することが可能となりました。

重量比較

フレーム重量の比較は「どこまでをフレームセットとするか」によって、その結果に差が生じることあります。
今回の重量比較では「フレームセット」を以下のように定義しました。
 • 製品版の未塗装フレームMサイズ
 • ヘッドセット/トップキャップを含む
 • RDハンガー
 • 全ての付属品(ウォーターボトルケージボルトなど)

単位:g

FRAMESET COMPONENTS (フレームセット状態での比較)

コンポーネントPROPEL ADVANCED SL (旧)PROPEL ADVANCED SL (新)PROPEL ADVANCED PRO (新)PROPEL ADVANCED (新)
フレーム845800863863
フォーク360360360410
シートポスト / ISPヘッド109111.3173.6173.6
FD台座15.114.914.914.9
RDハンガー13.325.325.325.3
プレッシャーアンカー41.440.140.140.1
トップキャップ88.28.28.2
コニカルスペーサー8.96.36.36.3
スペーサー26.423.623.623.6
ステムスペーサー6.23.63.63.6
ベアリング / コンプレッションリング49.8249.849.849.8
合計1483.11443.15 (-39.9 g)1568.5 (+85.4 g)1618.5 (+135.4 g)

COMPLETE SYSTEM COMPONENTS (完成車状態での比較)

コンポーネントPROPEL ADVANCED SL (旧)PROPEL ADVANCED SL (新)PROPEL ADVANCED PRO (新)PROPEL ADVANCED (新)
スルーアクスル9798.598.598.5
コックピット360283283535
ホイール1350125013801690
タイヤ580440440626
合計3870.13514.6 (-355.5 g)3770 (-100.1 g)4568 (+697.9 g)

重量比較のまとめ

新世代Propel Advanced SLは、フレーム設計の刷新、インテグレーテッドシートポスト (ISP)の採用 、各コンポーネントの最適化によって軽量化を追求。旧世代Advanced SLと比較して、フレームセットの状態で39.9g、フレームセット+コックピット・ホイール・タイヤ・スルーアクスルの状態では355.5gもの軽量化を達成しています。また、新世代Advanced Proも大幅な軽量化を達成しており、旧世代Advanced SLよりも100.1g軽量になっています。

剛性比較

剛性の測定方法

剛性テストは、業界標準プロトコルに基づき、Mサイズのフレームセットを用いて実施。スチール製のダミーフォークを装着した状態で、ハンドリング剛性とペダリング剛性を計測しました。これにより、バイクが現実世界でどのように性能を発揮するかをより正確に測定し、テスト手順が現実世界のパフォーマンス向上に結実するように確認しています。

フレーム剛性

評価方法

ねじり剛性の測定
フレームのリアドロップアウトを固定し、フォークに横方向の力を加えています。このねじり剛性が高いほど、コーナリング性能が向上し、ライダーの入力に対する反応性も高まります。

ペダリング剛性の測定
リアドロップアウトおよびダミーフォークを固定し、フレームを10°傾けた状態で、クランクアームのペダル取り付け部に垂直方向の力を加えます。このペダリング剛性が高いほど、パワー伝達効率が高く、ライダーはより少ないパワーで、高いスピード域に達し、それを維持できることを意味します。

フレーム剛性の改善

旧世代 vs. 新世代 PROPEL ADVANCED SL

評価項目PROPEL ADVANCED SL (旧)PROPEL ADVANCED SL (新)改善幅
フレームペダリング剛性 (N/mm)8284+2.4%
フレームねじり剛性 (N/°)120124+3.3%
フォーク剛性 (N/mm)5860+3.4%

まとめ

剛性テストの結果、新世代 Propel Advanced SLのフレームセットは旧世代との比較で、ねじり剛性が3.4%、ペダリング剛性が2.4%向上していることが確認されました。

新世代PROPELシリーズ | グレード間の剛性差

新世代Propel Advanced SL vs. Advanced Pro vs. Advanced

評価項目PROPEL ADVANCED SLPROPEL ADVANCED PROPROPEL ADVANCED
フレームペダリング剛性 (N/mm)8477 (-11%)74 (-15%)
フレームねじり剛性 (N/°)124110 (-11.9%)108 (-13.7%)
フォーク剛性 (N/mm)6060 (0%)56 (-6.8%)

まとめ

Advaced SLはプロユースたる圧倒的な高剛性とパワー伝達効率を示した一方で、Advanced Pro及びAdvancedは性能差を最小限に留めながら手に取りやすい価格を実現しています。

システム剛性の改善 | 旧世代 PROPEL ADVANCED SL vs. 新世代 PROPELシリーズ

フレームやフォークのみを対象としたオーソドックスな剛性テストに加えて、新世代 Propel の開発ではホイールとコックピットを装着した状態の、バイク全体を1つの完成されたシステムとして捉え、システム剛性として評価しました。この手法では、ペダルからドライブトレインを経て後輪へ、ハンドルバーからフレームセットを経て前輪へ至るまでのシステム全体の剛性を検証します。そうすることで、テスト結果が実走行におけるライディングパフォーマンスを正確に反映するよう設計されています。

評価項目PROPEL ADVANCED SL (旧)PROPEL ADVANCED SL (新)PROPEL ADVANCED PRO (新)PROPEL ADVANCED (新)
フレームセット駆動剛性 (N/mm) (PEDALING + FORK)140144 (+2.9%)137 (-2.1%)133 (-5%)
システムペダリング剛性 (N/mm)4749 (+4.3%)47 (+0%)44 (-6.4%)
システムコントロール剛性 (N/mm)88.3 (+3.8%)7.9 (-1.3%)7.6 (-5%)

まとめ

このテストと数値化によって明らかになった新世代Propel Advanced SLの優れたシステム効率は、ライダーが全速力の時に卓越した反応性とコントロール性を享受できることを意味します。

効率性比較

フレーム剛性の向上は、パワー伝達効率の向上を意味し、ライダーはより少ないパワーで、高いスピード域に達し、それを維持することができます。軽量化と高剛性の組み合わせが、総合的に優れた走行効率を実現します。

効率性の改善

旧世代Propel Advanced SL vs. 新世代Propelシリーズ

評価項目PROPEL ADVANCED SL (旧)PROPEL ADVANCED SL (新)PROPEL ADVANCED PRO (新)PROPEL ADVANCED (新)
フレームセット剛性/重量比9499.8 (+5.7%)87.3 (-7.5%)82.7 (-12.4%)
システムペダリング剛性/重量比12.113.9 (+14.8%)12.5 (+2.7%)9.6 (-20.7%)
システムコントロール剛性/重量比2.12.4 (+14.2%)2.1 (+1.4%)1.7 (-19.5%)

まとめ

このテスト結果より、新世代Propel Advanced SLは、フレームセットとしても、フレームセットにホイール/コックピットを装着したシステムとしても、旧世代から大幅に効率が改善したことが示されました。つまりはライダーからの入力をさらに効率よく推進力へと変換することが可能になっています。

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