ロードレースの優勝候補として注目されたイェーツ選手は、TCRとPROPELを1台ずつ持ち込んで来日。クリテリウムの直前まではTCRにゼッケンプレートを装着していたものの、レース開始直前にPROPELへと切り替え、土日ともPROPELでジャパンカップを駆け抜けました。オレンジや、異なるトーンのブルー、シルバーなど複数の色を巧みに塗り分けたペイントワークが、現地でも注目の的となりました。
今回のジャパンカップ参戦メンバーでは、ローソン・クラドック選手(アメリカ)やフェリックス・エンゲルハート選手(ドイツ)、そしてマウロ・シュミット選手(スイス)も両日ともPROPELを駆った一方、クライマーのヘスス・ペニャ選手(コロンビア)はTCRを選択しました。
イェーツ選手のTCRとPROPELは、フレームとその専用部品以外は同じパーツで組み上げられており、CADEXパーツも多くアッセンブルされています。ホイールはチームの定番モデルであるCADEX 50 Ultra WheelSystem。ハンドルはCADEX Aero Integrated Handlebarで、サイズは380/400mm。ボトルケージはCADEX Bottle Cageで、標準仕様のエアロボトルケージに替わってPROPELにもCADEXが取り付けられていました。
表面に無数の穴を持つサドルはプロトタイプで、衝撃吸収性とペダリングサポート性能のバランスを追求するために、3Dプリントを用いて部位ごとに硬さが調整されています。GIANT及びCADEXでは、より高性能な製品の開発をするべくレースの現場でテストを積み重ねており、このサドルのテスト結果も、今後発売される製品に反映されることでしょう。
コンポーネントとペダルはシマノの最高峰グレードであるDURA-ACE。歯数は前が54-40T、後が11-34Tの組合せで、クランク長は170mm。タイヤはヴィットリアCORSA PROの700x28cで、各選手ともに4.0Barを基準に、路面コンディションに合わせて調整していました。
チェーン落ち防止のためのチェーンキャッチャーには、メカニックのジャンパオロさんによる加工が施されており、パワーメーター用のマグネットが増設されています。純正のマグネットは両面テープでフレームに張り付けるものの、プロチームでは洗車頻度が桁違いに高く、すぐに剥がれてしまうことから、チェーンキャッチャーに一体化するという解決方法に至ったとのこと。
土曜のクリテリウムで2着に入ったマウロ・シュミット選手のバイクは、スイスチャンピオン仕様のPROPEL ADVANCED SLで、8月のブエルタ・ア・エスパーニャより使用中。赤いペイント部分に混ざるラメが、太陽のもとでキラキラと輝き、トップチューブにはイタリア語で根性を意味する「Grinta」の文字が入るなど、チャンピオンバイクならではカスタムペイントが施されています。
パーツアッセンブルはチーム仕様に準じており、ホイールはCADEX 50 Ultra WheelSystem、サドルには大きなロゴが入ったチーム仕様のCADEX AMPサドルが選択されています。ハンドルはCADEX Aero Integrated Handlebarで、187cmの長身に対しては幅狭な380/400mmサイズをセレクトし、空気抵抗を削減。ハンドルフラット部分の裏側にはサテライトスイッチが取り付けられており、出っ張りが少なくなるよう、筐体からスイッチ部分をくり抜いて、ゴム系接着材で固定する工夫が施されていました。
Special Thanks to Team Jayco-AlUla
今回のチームバイク取材にご協力頂いたジェイコ・アルウラーのチームスタッフの皆さん(左:日本人マッサーの宮島正典さん、中:メカニックのジャンパオロ・スタンガさん、右:フィジオセラピストのダン・ギヨメットさん)。プロレースの現場では電動ポンプが多数派となっており、ジャンパオロさんは日本のマキタ製のポンプを使用していました。
Photo : GIANT JAPAN