ジャパンカップは、1990年に宇都宮で開催されたロード世界選手権のメモリアル大会として1992年より開催されています。ワールドツアーに次ぐUCIプロシリーズの1戦で、単日開催のワンデーレースとしてはアジア最高位。例年世界のトップチームが多数参戦し、憧れの選手たちによる本気のバトルを一目見ようと、沿道には全国各地からロードレースファンが詰めかけます。
JR宇都宮駅から北西に15kmほどの距離に位置する宇都宮市森林公園を発着する1周10.3kmの周回コースは、多くの名勝負を生み出してきました。最大勾配が14%に達する急峻な古賀志林道の登坂、そこから3.5kmで標高差170mを駆け降りるテクニカルなダウンヒル区間、ハイスピードな平坦路に、脚を削るスタート/フィニッシュまでのアップダウン区間と、バラエティに富んだレイアウトのコースを舞台に、今大会は14周=144.2kmで争われました。
秋らしい冷ややかな空気と秋晴れの天気のもと、午前10時に号砲が鳴ると、序盤から有力チームが動く異例の展開に。優勝候補の一角と目されていたイェーツ選手が4名の先頭集団に入ります。この逃げは長く続かなかったものの、3周目の古賀志林道頂上を先頭で通過し、3/6/9/12周目の先頭通過選手に贈られる山岳賞ジャージを獲得。最後はメイン集団で完走し、11シーズンに渡って所属してきたチームで最後のレースを終えました。
あまりのハイペースに続々と選手たちがリタイアしていく中、前方でレースを進めたのは、昨年2位のフェリックス・エンゲルハート選手(ドイツ)。有力チームによるアタックの打ち合いの中で、先頭集団入りは逃したものの、今年もチーム最上位でフィニッシュ。レース後には「序盤からフルガス(全力)。レース全体が超超ハードだった」と語り、その表情からも厳しさが伺い知ることができます。
今季限りでの現役引退を発表しているローソン・クラッドック選手(アメリカ)にとって、今大会はプロとしての最後のレースで、結果は53位完走。2014年にジャイアント・シマノでプロ入り後、明るい性格で多くの選手たちから慕われつつ、2度の全米TT王者獲得や東京五輪出場などの戦績を残したクラッドック選手。先頭から約15分遅れ、観客が少しまばらになったフィニッシュラインで待っていたのは、一緒に来日した奥様のチェルシーさん。輝かしいキャリアを締めくくったのは、奥様からの抱擁でした。クラッドック選手、お疲れ様でした!
スタートラインで先頭を陣取ったシマノレーシングは、1周目から入部正太朗選手が逃げにトライ。「地元栃木で、これだけ多くの皆さんの前で走れてとても幸せでした」と語った石原悠希選手と、風間翔眞選手の両選手が終盤にかけて奮闘し、有力海外勢を含む半数近くの選手がレースを降りる中で完走を果たしました。
チームプレゼンテーション、クリテリウム、そしてロードレースと3日間に渡ってファンの皆さんの熱気に包まれた宇都宮ジャパンカップ。GIANTを駆るジェイコ・アルウラーとシマノレーシングへのご声援ありがとうございました。
また、GIANT JAPAN公式SNSでは、ジェイコ・アルウラーの1日に密着したスペシャルムービーを公開中です。マシュー・ヘイマン監督のハンドル捌きやチームカー内の様子など、貴重な映像をお楽しみ頂けます。こちらも併せてチェックをお願いいたします。
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